『知的資本論』

清左衛門です。

昨日、『知的資本論』という本を読みました。

TSUTAYA等で有名な「CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の社長の本になります。

非常にインスピレーションを掻き立てる本でして、これからネット社会が進んでいくにつれて、TSUTAYAのようなリアルの書店は勝てなくなるだろうと予見をしながらも、リアルがネットに優る点として、目の前のほしいものが手に入る「即時性」とリアルに本がたくさん並んでいるのを見て感情をゆさぶるといった「直接性」があると指摘します。

そして、それらを集約すると、顧客の「気持ち」の視点がネットにおいては欠落しており、「居心地」のよさがリアル店舗の持てる優位性であり強みで、その居心地の良さを提供するための資本が知的資本なんだといいます。

消費社会の第一段階はモノが不足し、作ったものは売れるという状態で、第二形態は大量生産方法が確立し、モノが溢れ、それを提供するプラットフォームによって消費活動の多寡が決まる形です。現代においては、ネット等で様々なプラットフォームが出ており、単にプラットフォームを提供するのみでは顧客にとっての価値は増えなくなっています。そこで次に出てくるのが顧客に対する「提案」です。顧客が想像もしなかったサービスを提案し、顧客価値を高めるのです。それに必要なのがある種の専門性を持った知的資本です。たとえば本を売るのであれば、顧客の知りたいジャンルにあった書店員(コンシェルジュ)が顧客に対しておすすめの本を提案する。そのためにはその分野での知的資本の蓄積、集約が書店員になされなければなりません。

この知的資本こそが、今後の世界において顧客価値を高めるために必要なものということが書かれています。

また、私が非常に印象に残った言葉として、

「会社においては愛が必要で、愛とは同じ方向を向くことだ。」というところです。

 大きな組織においてはしばしば組織内で見つめあい(現場が上位組織のために仕事をすること、社内の調整だけに忙殺されてしますこと)が起きてしまいますが、組織における愛は同じ方向(顧客の方向)を向いて一緒に顧客価値を高めるために並列になって考えていくことだということです。

私も普段は仕事をしているのでこの言葉の重さ、難しさ、重要性はよくわかります。上位組織の人は自分のほうに下位組織や部下を向けるのではなく、上司も部下も一緒になって顧客の方向を向くことなんだということです。

このような会社は今の日本には珍しいのかもしれませんが、このような会社にこそ、長期投資をしていきたいと思う今日この頃です。